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日本の近未来?アメリカの大幅教師削減、陰で笑うエリート教員派遣会社

(by sunshine)


100年に一度とも言われている未曾有の大恐慌の嵐は一向に鎮まりそうもないアメリカだが、この余波を受けて、州財政の大幅赤字により公教育現場への大幅予算削減が深刻な社会問題となっている。


カリフォルニア州では今年3月半ば、約23,000人の教師達に対してピンク・スリップ(一時解雇通知)が郵送された。そのうちサンフランシスコ・ベイエリアでは約900人の教師達がこれを受け取った(このうち約160名余りは管理職)が、これもすべて113億円(向こう2年間)の予算削減のあおりを受けてのものだとメディアは報じている。

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(ビデオも見られる)

http://abclocal.go.com/kgo/story?section=news/education&id=7332132

Bay Area teachers feel the wrath of pink slips


School districts around the Bay Area are sending layoff notices to thousands of school teachers. San Francisco Unified is handing out the most pink slips in the Bay Area and that also includes administrators. All the safety nets are no longer there, so all of the layoffs are about to become permanent.

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また同様にシカゴでも約400人の教師が仕事を失った。教職員組合の7月21日付、ニュース・レターには、「Teacher For Americaのメンバーを雇用する前に、まず自分たちの再雇用をせよ」との声明文を掲載している。


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http://progressillinois.com/news/content/2010/07/21/ctu-no-new-hires-until-laid-rehired

Chicago Teachers Union Warns CPS About New Hires (UPDATED

The Chicago Teachers Union called on the Chicago Public School system to rehire laid-off teachers before hiring any new ones. CPS begins its budget talks on Friday.


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またボストンでは、昨年以来、教職員組合とTeacher for Americaの“闘争”は繰り広げられており、ダラスでは300名余りのベテラン教師を解雇し、代わりに100名のTeacher for America 所属者を派遣、イリノイ大学教育学部では毎年300名の初等教育専門の、教員免許取得者を卒業させるが、Teacher for America 所属者に職を奪われ、仕事に就けない新卒者が多く、深刻な問題となっている等の話がThe Liberator Magazineに寄せられている。

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http://weblog.liberatormagazine.com/2010/05/investigating-teach-for-america.html


Investigating "Teach for America"


Public education, once viewed as the great equalizer of "our union", now faces unprecedented scrutiny and ever-increasing competition from private and semiprivate entities. Teach For America (TFA), a national teacher recruitment and placement non-profit organization is a major player in current education reform efforts in the United States. In 2009 alone, TFA placed some 4,000 teachers nationwide. This fact in combination with TFA’s growing influence in schools, communities, and school districts across the country, has brought Teach For America and its corps members under the proverbial microscope of America’s politicos, educators, teacher training institutions, and teacher unions.

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Teach For Americaとは?


Don't Believe The Hype-Kopp


                       (設立者のWendy Kopp)


教育界を席巻しているこの「Teacher For America」とは一体どういう組織か。


・1889年、当時プリンストン大学4年生だったウェンディー・コップ(Wendy Kopp)が卒業論文で書いた「都市部や田舎における貧困層の子供達への教育の機会均等のために」という理念の下、1990年に設立された。


・このNPOの設立趣旨は、優秀な大学新卒者を2年間契約で主として都市部や地方の貧困層の多い地区にある公立学校に派遣し、生徒たちに教職免許を持つ従来型の教師とは異なるユニークな方法で教えることによって、学力をアップさせ、教師となった若者たちにはアメリカのメインストリームから外れた人々の生活を知ることによって、より一層アメリカ社会の現実についての認識を深め、来るべくアメリカのリーダーとしての研鑽を積むための一助とするため、としている(正式にはNPOとなっているが、実は私企業と同じように営利追求を行いながら、それを表面に出さないところも多く、ここもその部類に属するという人も多い)。


・応募者はここ2,3年特に急上昇し、2007年には2,900名の採用に対して18,000人が、2009年には4,100人の採用枠に対して35,000人が、2010人には4,600人の採用枠に対して46,000人が応募した。今やTeach for America はかつての巨大金融機関と同じような“ブランド名”を保有するに至っている。


・応募者の出身大学もアイビーリーグやその他の有名一流大学が多く、プリンストン、アムハースト、デューク、シカゴ大などでは卒業生の約10%、イェール大では約18%が応募、7月11日付のNY Timesによると、あるハーバード大出身者の友人、20名が応募したところ、3,4人だけが採用されたという話やカリフォルニア大学バークリー校出身者は最初から不採用と思い、応募しなかったという話、またデューク大出身者は不採用になり、合格していたアイビー・リーグの大学院の方へ進んだという話などが掲載されている。修士号や博士号保持者も多数いて、出身学部は教育学部以外の多岐にわたる。


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http://www.nytimes.com/2010/07/12/education/12winerip.html?_r=2


A Chosen Few Are Teaching for America


HOUSTON — Alneada Biggers, Harvard class of 2010, was amazed this past year when she discovered that getting into the nation’s top law schools and grad programs could be easier than being accepted for a starting teaching job with Teach for America .

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・採用された人達は5週間のサマー訓練期間を受けた後、アルタナティブ教員免許が与えられ、2年間契約で教師として派遣される。


・給与は教員免許を持つ新教員と同程度の給与で、健康保険などのベネフィットもある。また、各学年末には特別報酬としてAmeriCorpより4,725ドルが支払われるほか、多種多彩な割引制度もあり、学生ローンの支払いを完了させるための無利子のローン制度もある(給与は田舎が27,000ドルー4,5000ドル、都会が30,000ドルー4,8000ドル。正規の教員同様、各学校区からの支払いとなる)。


(下記に平均給与のグラフがあるが、これをみるとTeacher for Americaの給与は決して悪くない)

http://www.teachforamerica.org/corps/financial_arrangements.htm


・この組織の運営費は、33%が連邦および州政府の予算、20%が個人の寄付、15%が企業、6%が特別イベントからの収益金となっている。

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http://voices.washingtonpost.com/answer-sheet/teachers/a-new-look-at-teach-for-americ.html


A new look at Teach for America

Around the country today thousands of young Teach for America recruits are getting a crash course in how to teach students in low-income urban and rural schools, a job they have promised to do for the next two years.

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Teach For Americaと民主党の癒着


このように連邦・州両政府から大幅な経費獲得を行って、“教師の人材派遣業”を堂々と行っているTeach For Americaに対して、怒りに燃えた教師達は、今、Teach For Americaと民主党との「癒着の構造」について厳しく追及している。


先月末、複数の民主党上院・下院両議員達から上院・下院それぞれの「労働・保険・教育小委員会」委員長あてに、「Teach For America」に対する補助金として、5,000万ドル(約45億円)を交付するよう連名で嘆願書が提出されたことが、表沙汰となった(下記のサイトにこの文書と上院議員・下院議員達の署名が掲載されている)。

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Don't Believe The Hype-TFA


http://greatschoolsforamerica.org/wordpress/?p=165


Teach for America:Deceive and Receive


What would you do if you recently acquired copies of letters circulating around Congress expressing support for doubling the funding for Teach for America (TFA) from 25 to 50 million of your tax payer dollars.

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“ロビー政治”がアメリカ政治の特徴といわれればそれまでだが、教員免許を持った“ベテラン”教師を解雇して、若いアイビー・リーガーたちを2年契約で後釜に据えるやり方は、余りにも露骨すぎるという声も多い。


・「Teach For America」もご多分にもれず、設立当初は貧困地区で教育の質を高めようという理想に燃えたよいプロジェクトであった。


・組織が大きくなれば、必ず理想と現実とのギャップが生じてくる。


・安定した組織運営のためには、政治家とのコネ、ギブ・アンド・テイクの関係は必要不可欠なものと思えるようになってくる。


・ブランド力名維持のためなら、奇麗事などいっておれなくなる。


と、まあこういうような流れで、現在に至っているのだろうか。物事には必ず春夏秋冬のサイクルというものがあり、たとえどんな素晴らしい理念を持ったプロジェクトでも、年月が経てば、次第に変遷していくのが常だ。


結論


問題の教える中身についてだが、教え方が斬新で、わかりやすくて、大変良いという評価と、良くない、ないし教員免許保持の“伝統的教師”と同じ程度という評価とに分かれており、一概には言えないようだ。ただし、高校の理系については、「Teacher For America」所属者の評価は、“伝統的教師”よりも高いようだ。これは一流大学・大学院卒の優秀な「Teacher For America」所属者が教えるからだろうと前出のワシントン・ポストは書いている。

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http://voices.washingtonpost.com/answer-sheet/teachers/a-new-look-at-teach-for-americ.html


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このように見てみると、アメリカの産業界全体が落ち目で、アイビー・リーグを出ても就職口さえままならぬという昨今の社会事情からしてみれば、「Teacher For America」がいかにアメリカの若者たちを惹きつけるか、その理由はわかる気がする。


その学生たちの受け皿としてこのteacher for America は存在し、一方、2年契約での新卒者採用は、教育委員会にとっても人件費削減につながる。世の中がこんな状況になると予測してこれを設立したのかどうかは知らないが、言ってみれば、今、現在、ぴたりとはまる“教育界のすきま産業”ではある。


ちなみに50-65%の「Teacher For America」が2年間の契約期間終了後は教師の仕事を辞めて、他の仕事に就職したり、大学院に戻ったりしているようだが、新卒後の2年間のこの経験はその後の職探しに大いに役立つとか。


日本でいえば、東大や京大卒の人に2年間教師をやらせるということだろうが、この不況がさらに続けば、これをそっくりそのまま物まねした団体が方々で出現なんて話も、まんざら架空の話ではなくなってくるかも知れない。


“伝統的教師”がいいか、一流大卒の、教育学部出身でない2年間教師がいいか、私自身は何とも言えない。それぞれ一長一短があると思う。しかし、これで得をしているのはどこのだれかと考えると、奥の深い問題ではあると思う。



*ちなみにサンフランシスコ・ベイエリアには429人の「Teacher For America」所属者がいる。


http://www.teachforamerica.org/corps/placement_regions/bay_area/bay_area.htm


*Wendy Koppへのインタビュー(The Economist)

http://www.economist.com/blogs/democracyinamerica/2010/04/wendy_kopp_interview



*海外での教職を斡旋している会社もある。特にオイル・マネーで景気の良い中東での仕事は給与、待遇ともに最高で、人気がある。アブダビあたりは、特にいいらしい。

http://www.teachaway.com/


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(コメント by こげぱん)

■BS世界のドキュメンタリー シリーズ アメリカ社会の苦悩「ピンクスリップの恐怖」


日本でも5月頃だったか、NHK-BS「世界のドキュメンタリー」でこのテーマがとりあげられ、勤続30年のやり手数学教師があっさり解雇されたり、貧困地区の学校がさらに荒廃するなどに、カリフォルニア公立学校の窮状を唖然とする思いで見た記憶があります。

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http://cgi4.nhk.or.jp/hensei/program/p.cgi?area=001&date=2010-07-28&ch=11&eid=28253


BS世界のドキュメンタリー シリーズ アメリカ社会の苦悩「ピンクスリップの恐怖」

米国カリフォルニア州の公立学校の教師たちが、ピンクスリップの恐怖におびえている。ピンクスリップとは、解雇通知のこと。2009年、同州では、教師の10人に1人にあたる3万人の教師が受け取った。かつては黄金州と呼ばれていたが、リーマンショック後は税収が激減。同年の財政赤字は260億ドルを超え、教育費が実に75億ドルも削減された。荒廃の危機にあるカリフォルニア州の公教育の現場を見つめる。
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▽関連記事
http://latimesblogs.latimes.com/california-politics/2010/03/california-public-schools-send-out-22000-pink-slips.html


California's public schools send out 22,000 pink slips
March 15, 2010 | 12:58 pm

Faced with another year of potentially deep budget cuts, California's public schools have sent out 22,000 pink slips to teachers and school employees, according to the state's superintendent.

「BS 世界のドキュメンタリー」で放送されたのですか? さすが情報化社会ですね。その時に「Teacher for America」のことも紹介されたのでしょうか? されたとしたなら、どういう風に紹介されたのか興味があります。

カリフォルニアといえば、元々教育にあまり金をかけないという事についてですが、伝統的に西部(カリフォルニア州)は東部に対するライバル意識がある地域ですので、それは東部に対抗して、東部エスタブリッシュメント達の子弟達が行くアイビー・リーグに負けないような公立大学を創設しようということでUC(カリフォルニア大学)システムを創立したので、そういった点からそのように言われているのだと思います。カリフォルニア州というのは、元来金鉱目当てに一攫千金を狙った山師のような連中が集まってできた町が多く、東部エスタブリッシュメント達とは文化、風習、気質が異なっていたので、庶民のための質の高い教育を目指すというのが州是のようになってきたのだと思います。ただUCは全米の州立大学中、確かもっとも授業料が高いことで有名で、それはこのような州財政の大幅赤字になる前からそうでした。

また小学校から高校までの教育においても、「Gifted Program](英才教育プログラム)のある学校では、他州よりもお金をかけていたような話は聞いています(ただ、この州財政の大幅赤字になった昨今では、この予算も大幅カットされ、問題となっています)。

元来教員の給料は低く、給与体系も学校区が決定するので、学校区への予算が削減されれば教師の解雇もあっさり行われるというところは以前からあり、従って学年末が近くなると来年度の予算がどうなるか、びくびくしながら生活する教師が多かったとは聞いています。つまり日本ほどいったん教師になれば退職するまで勤められるという保証はなかったのです。従って、極めて流動的で、不安定な職場ではありました。

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