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民主党の高校教育無料化案は単なるばらまきか?米・フィンランドとの比較による考察

(by sunshine)


先回の本ブログ(http://ameblo.jp/sunshine-berkeley/day-20090806.html )で、こげぱんさんが民主党マニフェストの“目玉”のひとつである高校教育無料化について、ある公立校教師の意見を引用されていましたが、この件について私の意見を書きたいと思います。

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民主党が高校教育までの無料化をマニフェストに掲げているとのことだが、曲がりなりにもGDP世界第二位の経済大国なら、それくらいのことを行うのは当たり前と言いたい。


ところが「2005年度学校教育費の対GDP比(国債比較)」を見ると、日本はわずか4.9%と意外に低い数値である。その理由として、例えばアメリカをはじめとするその他の移民が多い国々と比べると、補修としての言語教育にかかる費用が少ないからということがあるかもしれない。しかし、とりわけ公教育への支出は低く、その代り私的負担が多い点で日本は特異な存在となっている(この点に関しては韓国もよく似ている)。


http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/3950.html


これについては、公教育はほったらかし、親の経済力に任せて子供の教育も野放し状態といったアメリカの悪しき現象をそのまま30年後に追っかけているといえそうだが、そこでそれの見直しとして高校教育を無料化にして、公教育に力を入れるという案なら私は賛成だ。ただし、それには下記の2点がポイントとなる。


1.どのような国策に基づく教育政策なのか


教育というものはその国の未来への思いを託している鏡のようなものだと私は考える。そのためには、いかなる国策としての教育政策を講じているか。そこがポイントだ。


いくつかの異なる国で教育を受けたことがある者として言わせてもらえば、教育政策には大きく分類して、”一部の天才育成教育型”と”全体のレベルアップ教育型”の二種類があるように思う。前者の典型例としては、アングロ・アメリカ諸国、後者の典型例としては北欧諸国。そして日本はといえば、前者型ではないか。ただし、戦前、戦後の一時期までは後者型、戦後のある一時期から、特に新自由主義が推進されるようになって以来、”過激な”前者の”いびつ型”となったように思う。


前者の典型例・アメリカと後者の典型例・フィンランドを比較してみると、この両者の違いが歴然としてくる。


「学力の国際比較」を見ると、フィンランドが各分野総合で世界でトップ。アメリカは日本よりも下位。

(日本は教育費にお金を使っていない割には成績が良い)

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「学力の国際比較」

http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/3940.html


*科学的リテラシー:フィンランド(1位)、日本(6位)、アメリカ(29位)

 読解力  〃    :   〃  (2位)、 〃 (15位)、 〃  (56位までに入っていない)

 数学的  〃    :   〃  (2位)、 〃 (10位)、 〃  (36位)

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ところが、ノーベル賞受賞者となると、自然科学分野では下記のように、圧倒的にアメリカが多くなる(ノーベル賞受賞も政治的なものが背後で絡み合っていることやアメリカの受賞者の中には外国生まれが多いことも承知の上であるが)。

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「ノーベル賞(自然科学分野)の国別ランキン(1901年ー2008年まで)

http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/3933.html


*1位: アメリカ(227人)

 2位: 英国  (75人)

 3位: ドイツ  (68人)


国別・分野別 ノーベル賞受賞者数( 1901-2007 )
http://sangakukan.jp/michishirube/databook+index.page+article+storyid+72.htm

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しかしアメリカは今、確実に滅亡の一途をたどっており、上記のようにたとえノーベル賞受賞者を数多く輩出していても、国自体が機能不全状態、ということは教育政策自体が機能不全状態といえる状態にある。


一方、90年代には失業率17%とも20%ともいわれていたフィンランドは、ITと教育を軸に国策の立て直しを図り、GDP,教育レベル共に世界のトップクラスに躍り出ている。なぜそのようなことが可能になったのか。詳しくは各自で調べていただければいいが、大雑把にいえば、フィンランド人の団結心の強さ、まとまりの良さにある。


フィンランドの国土は日本よりやや狭く、人口は約530万人。そしてフィンランド人は他の北欧諸国(スウェーデン、デンマーク、ノルウェー、アイスランド)と異なり、民族的にはアジア系(ハンガリー系)に属するし、言語もフィンーウゴール語族。気質は昔の日本人のように素朴で仁義を重んじ、礼儀作法を大切にする。大国ロシアとスウェーデンに挟まれ、何度か植民地となった歴史と厳しい自然環境により、人々の団結心と助け合いなくして生存不可能ということを嫌というほど学ばされてきた民族でもある。だからこそ、90年代に国が行き詰まった際には、国民全員が国の立て直しのために立ち上がったのだと現地の人たちから聞いた(あの時は将来に夢や希望を見出せない無気力な若者が増え、アルコール・麻薬・銃問題ー狩猟の伝統があるため銃の所有はアメリカに次いで高いーなどが大きな社会問題となっていた)。


そして現在、IT分野では携帯電話のノキアとリナックスというソフトで有名な国として、また世界一質の高い教育を行う国として世界をリードする立場に立っている。


フィンランドの教育は幼稚園から大学まで無料。これについては、下記のサイトを参照されたし。

http://www.moimoifinland.com/technical/education.html


上記サイトにもあるように、フィンランドでは中等教育を終えると(中卒)、職業専門学校と高校、またその上は大学と職業高等専門学校に分けて、教育する。大学は5年制で修士号を取得してから卒業となる(最近は学部卒も出来たという話だが)。中卒の時点でアカデミックな勉強の嫌いな生徒は手に職を身につけるために職業専門学校へ、そうでない生徒は高校へと振り分けるのも、ドイツやフランス、イタリアあたりでは行われている制度であり、職工制度などとの併用でさらに一層技術が磨かれる。


このようにフィンランドは、崖っぷちに立たされた時から国民全体の改革への情熱が燃え上がり、国の基幹産業を皆で模索した結果、IT産業と教育という目標を設定。それのアプローチに向けて、皆で血のにじむような努力をした結果、今日に至ったとこういうわけだ。


無論、人口わずか500万人余りのフィンランドの政策をそのまま1億5千万人余りの日本にあてはめることは無理があることは重々承知の上だが、分かりやすいモデルとして参考にはできるのではないか。


日本の民主党が高校無料化を謳っても、何のための無料化という目的が見えないうちは、税金の無駄遣いという結果に終わる可能性も高い。大切なのは目的意識である。


2.教員の質の向上


これについては日本国内で様々な論議が交わされていると思うので、あまり触れない。フィンランドでは教員となるにも修士号を持っていなくてはならず(最近は少し変わってきたと聞いたが)、教員となってからも様々な研修で教育されるので、教員の質が大変高いことで有名。日本の教育者達は一度研修に現地へ行ってみるとよく分かると思う。


また教員となってからも、常に新しい知識と教育法を教わるために休みをとって大学院に戻る。一般社会人も同様に仕事をしながら、若しくは社員のまま、出勤しないで大学院の試験勉強や単位取得のための勉強をすることができる。このように社会全体で勉学の機会を与えているという環境がある。このような社会環境そのものが人々の勉学への意欲を引き出しているということが言えると思う。

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日本の教育についてはあまりよく知らないので、とやかく言える立場にはないが、戦後、日本の学校はアメリカの教育政策に翻弄されて(?)、”正統なアングロ・アメリカ天才輩出装置”ではなく、”病的な闘争心増殖装置”による”いびつ人間製造工場化”したのではないか。そして、一部の”小ぶり秀才養成校”とその他大勢の“落ちこぼれ囲い込み校”を生んだのではないか。


その結果、アメリカ同様、親の所得格差が子供達の学力格差に比例するという状況が生まれている。

「教育支出における私費負担の割合」

http://www.gamenews.ne.jp/archives/2008/09/oecd.html


以上のようなことから、単なるばらまきだけでは日本の国には何の変化も起こらないということだけは自明の理であるといえそうだ。


*民主党は子供一人当たり月に2万円6千円の「子供手当」を支給するという案もマニフェストに盛り込んでいるが、ワーキング・プアーのために結婚して、子供すら持てない独身者達の問題を解決する方が先ではないか


最近の親たちの中には破廉恥きわまりない親が大勢いて、親はおしゃれをして、遊びまわっているくせに子供の給食代や月謝の支払いは滞らせるといった例も見られるとの話を聞いたことがある。貧困所帯には支給もいいが、金持ちの親にまで均等にばらまくというのは単なる人気取りというものだろう。

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(コメント by Bob)

■子ども貧困大国・日本

文部科学省の図表で見る教育OECDインディケータ2008年度版(2005年度データ)
http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/002/index01.htm


ここに教育に関する財政支出の対GDP(国内総生産)比というデータがあります。
日本は28国中最下位です。

お金をかければ良いという問題ではありませんが、公費負担が少なければ、自ずと教育レベルに格差が出来るのは至極当然な結果だと思われます。


Bob 2009-08-10 18:04:32
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(レス by sunshine)

■日本の学校は確かに貧相

資料の紹介、ありがとうございます。

日本がこれほど公教育費への出費を低く抑えているとは知りませんでしたが(それにしてはよく頑張っている)、ではどういうところに政府はお金を使っているのだろうかと疑問に思いますね。

Bobさんも経験なさったことかもしれませんが、UCBには京大、東工大、早大、東大などを卒業した留学生がいますが、彼らが一様にいうことはいかに日本の大学の施設が貧相で環境が悪いかということですよね。まるで子供だましだと。州立大でもこうですから(といってもUCBは産学共同体的側面もあるので大企業からの資金も落ちているが)、私立大ともなるとそれはもっとすごいものです。

”科学国家・アメリカ”を国策としていたかつての“栄光のしるし”と言えばそれまでですが、”落ち目”とはいえまだまだ底力のようなものは感じます。

どこにどうお金をかけるのか、国家としての明確なビジョンのもとにお金をかけてほしいと思います。


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(コメント by Kaeru)

■同感ですが・・・

10年以上の経験を持つ公立高校英語教師です。おっしゃっていることはもっともだと思います。北欧の例を出されているように、同じ「教師」と言われる職業であっても、実態は国によって異なり、「教育」とは何かという根本的な価値観も異なるように思います。


高3の担任をしていますが、授業にもまして、進路ガイダンス(学習方法のアドバイス、就職先や志望校決定のアドバイス、三者面談、保護者へのフォロー、奨学金申請手続き)、部活動(当然休日出勤)、学校行事(体育大会、文化祭、予餞会)、校務分掌(学校運営を円滑に行うため、企画広報、進路、生徒指導、保健、図書、情報、研修などに所属し仕事をします。PTA、同窓会、地域との連携。)に教科指導と同等あるいはそれ以上の時間を割かなければいけません。

様々な問題を抱える生徒に対しては、担任が話を聞き、フォローしながら、専門家に相談する橋渡しを行い、問題行動(喫煙、万引き、いじめ)があった場合にも学校で指導します。不登校生徒への対応も行います。原因が学校ではなく家庭環境や成育歴の問題でも、問題解決のために関わります。クラスに統合失調症の生徒がいましたが、とても大変でした。


アメリカでは、教科を教える教師ではなく専門のカウンセラーがこれらのことに対応してくれるようですが、日本では違います。日本の学校教師が果たすべきとされている責任は、様々な国のそれをはるかに超えているようです(おそらく北欧諸国ではこれほど沢山の責任を教師が負うことはないのではないでしょうか)。


現場としては、日々の研鑽や研修に割く時間をどうやって捻出すればいいのか、と文部科学省に言いたいのが本音です。


私自身は勉強する時間を捻出し、金を貯め、3年間休職し、アメリカの大学院で修士号を取り、1年間の博士課程の後、休学し、日本に戻って来て、再び教壇に立っています。


戻って感じたことは、異なる価値観や環境を見たり、経験したりしたことが無い人達にとっては、私が経験したことを想像することすらできません。教育の質を向上させるためには、教師の質の向上を図らねばならないと思いますが、日本社会全体の価値観として社会人として、あるいは教員として大学院に戻るということが依然受け入れられていません。勉強してきたことを現場で生かそうと努力し、知識の共有をしようとしても、なかなか浸透しないのが現状です・・・(溜息)

フィンランドがIT分野で世界をリードできるようになったのも、フィンランド語がインド・ヨーロッパ語族でない特殊な言語であるがゆえに国際的な競争についていけないというところから、英語教育に力を入れてきたからだと聞きました。小学校の時から外国語2科目(スウェーデン語と英語)を履修しなければならず、今では大体英語を話せばどこでも通じるほどにまでなっています(反面、フィンランド語と民族としてのアイデンティティーが失われるといった危機感も世論としてあるようですが)。そのためにIT分野で秀でた国となったと聞きました。

Kaeruさんのような経歴の方を埋もれさせておくとは、本当にもったいない話です。これもひとえによく言われる「日本人の島国根性」というものでしょうか。仲間同士足の引っ張り合い、潰しあいをする、「出る杭は打つ」という島国独特のいやらしい、劣等感と僻み根性が混在したメンタリティーなのでしょう。

一度教育関係者は全員、海外に行って見聞を広めなければ、そんな狭い了見では良い教育など出来る筈がないですよね。外国まで研修に行くには費用がかさむということなら、せめて日本にあるインターナショナル・スクールなどに行き、見聞を広めるよう文部科学省には強く進言したいですね。

下記の学校などいかがでしょうかね(日米同盟が強固な絆で結ばれているのなら、ASIJもNOとは言わないでしょう…笑)。
http://community.asij.ac.jp/Page.aspx?&srcid=-2


いずれにせよ、日本はもっと教育にお金をかけなければ駄目ですね。教師の負担を軽減し、本来の仕事にエネルギーを注げるよう改善を強く望みます。


*この分野になると私よりも詳しいこげぱんさんが今休暇中ですので、また戻られてから”熱のこもった”文章を書いてくださることと思います。これでもかあ!といった感じで(笑)


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