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IMFの軛とアルゼンチンの奇跡

(by こげぱん)


欧州経済の動揺が止まらない。今春のギリシャ危機を経て一時は小康状態を保っているかに見えたものの、今度はPIGSの一角・アイルランドに火がつき、とうとうECBやIMFの「管理下」に入ってしまったことが先日報じられた。

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21 November 2010 - ECB Governing Council welcomes the request of the Irish Government for financial assistance
http://www.ecb.int/press/pr/date/2010/html/pr101121.en.html
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そのプレスリリースでIMFは、欧州流福祉国家モデルは高コスト体質と増大する国家債務のため「風前の灯」であるとして、今こそ国際機関への権力移行や単一労働市場の創設、さらには(IMFの必殺フルコース・緊縮政策((Austerity))を採用して)財政再建と経済成長を目指せと欧州各国に説いている。

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Europe Needs Reforms to ‘Break Shackles of Low Growth’
http://www.imf.org/external/pubs/ft/survey/so/2010/NEW112110A.htm
http://www.imf.org/external/japanese/np/sec/pr/2010/pr10446j.pdf

IMF Survey online
November 19, 2010

* Stronger growth, job creation are priorities for Europe
* Collaborative reforms necessary to safeguard European social model
* Stronger financial, more integrated labor markets needed

Europe needs collaborative and far-reaching reforms to restore strong and balanced growth across the region and safeguard the European social model, the head of the International Monetary Fund Dominique Strauss-Kahn told bankers and officials in Frankfurt.
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IMFの処方箋はある種のショック療法であり、これまでIMF管理下に置かれた各国経済を破壊してきたことは国際情勢に詳しい人にとっては常識かもしれないが、経済危機への処方箋は何もIMFだけの専売特許ではなく、たとえばGuardian社説はアイルランドに「アルゼンチンの如く、IMFやECBのくびきを脱せ」と救いの手を差し伸べている。

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Ireland should 'do an Argentina'
http://www.guardian.co.uk/commentisfree/cifamerica/2010/nov/22/ecb-ireland-bailout-argentina

The Irish people expected to pay in austerity cuts for their banks' sins have another option. Reject the ECB and IMF, ditch the euro
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アルゼンチンといえば、2002年デフォルト後就任した故ネストル・キルチネル(Nestor Kirchner)大統領が、1990年代に当時のメネム大統領などが主導した親米・新自由主義路線と決別し、大胆な債務棒引きとIMF追放に成功して年率10%もの経済成長を謳歌したが、この「アルゼンチンの奇跡」は何も奇跡ではなく、海外への債務支払いより国内産業への投資を優先させた当然の結果である、とVoltaire net誌が報じている。

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Argentina. Defy the Creditors and Get Away with It
http://www.voltairenet.org/article167517.html

by Walden Bello*

The recent death of Ne'stor Kirchner has been perceived as a great loss, not only to Argentina but to the region and the world. In May 2003, Kirchner took the reins of a country crushed by its most severe economic crisis and riddled by massive debt. His audacious and successful face-off with the International Monetary Fund showed the world that a country could defy the IMF and live to tell about it.
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「アルゼンチンの奇跡」は、国債の大半を自国市場で消化する日本でそのまま実行できる政策ではないかもしれない-逆にアメリカにこれをやられると痛い-が、ほかにもコロンビア大学・スティグリッツ教授も ・「対テロ戦争」や無条件の銀行救済などに使われる資金を投資に振り向ける ・法人税やキャピタルゲイン増税と低所得層減税(による消費刺激策)実施などから成る処方箋を主張している。

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Taming Finance in an Age of Austerity
http://www.social-europe.eu/2010/07/taming-finance-in-an-age-of-austerity/
08/07/2010
By Joseph Stiglitz
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翻ってわが日本。今や政権末期症状を呈するアカン直人内閣はあたかもIMFを崇めるかの如く、「強い経済、強い財政」とストラスカーン専務理事の二番煎じの如きスローガンを唱え、消費増税・法人減税などIMF的政策志向を隠そうともしないが、(上記IMFプレスリリースではないが)日本こそそろそろ「方向転換」するべきではないか。空前の金融緩和で水膨れして飛べなくなった鷲が、それこそ「アルゼンチン・タンゴ」を踊る(do an Argentina)前に。


▽参考サイト

アルゼンチン:ネストル・キルチネル前大統領死去(ラテンアメリカの政治経済)
http://ameblo.jp/guevaristajapones/entry-10690617139.html

キルチネル主義(wikipedia)
http://en.wikipedia.org/wiki/Kirchnerism

「アメリカ主導の自由貿易協定拒否」など、今後の日本にとっても参考となる政策がある。


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(コメント by sunshine)

■IMFのエコひいきと悪辣さ


悪名高いIMF(国際通貨基金)という名の”高利貸し”は、アメリカがその多くを出資しして作らせた(と言われているが、もっと奥の院はある?)だけあって、“エコひいき”ぶりもすさまじい。アルゼンチンが2001年に債務不履行に陥った時には、クリントンからブッシュに政権が移行されており、ブッシュはそれまでのクリントンとは異なり、アルゼンチンにはNOといい、その年の初めに同じく債務不履行に陥っていたトルコにはYESと言っています(笑)。だから今回のアイルランドの件も、もしかしたらIMFの対応は、ラテン系の荒くれ者のDNAが流れているアルゼンチンへの対応とは異なり、いくら欧州の辺境者といえども、幾分かは緩和されたものになるかもしれません。


何しろケネディーをはじめとするアイルランド系アメリカ人の政財界人も大勢いますしね。ガーディアンが温情の手を差し伸べているような論調の記事を掲載しているのも、フォークランド紛争やらで”女王閣下の軍隊に抵抗した”アルゼンチンとは、待遇が違って当たり前というものかもしれません。

ネストル・キルチネル(Nestor Kirchner)大統領については、このたび10月27日に心臓マヒで他界なさいましたが、”本当の左派”に言わせれば、「まだまだ右寄り。なぜならエネルギー、石油、電力などの民営化を止めなかった」といった意見はありますが、今までの指導者と比べればましだったようです。一番の改革点は1ペソ=1ドルという固定相場制、ペソとドルの2本立てを止め、1ドル=1.4ペソという完全変動相場制にしたことだといわれていますが、国民生活のほうはここに至るまで、かなり大変で、今でも大変なようです(失業率8.9%-現在)。段ボール集めも仕事にして、雇用創出を図ったようですから。

アメリカの”命令”によってハイチ占領の一翼も担い、アメリカと合同軍事演習もやっていた(いる)半面、ベネズエラのチャべスあたりともうまくやっていたようですから、色々と顔をうかがいながらうまくかわしてきたということでしょう。彼の妻も今、大統領となって、2期目を目指しているようですが、その矢先に心臓マヒで他界。

米中の顔色を窺いながら、しこしこと外交活動を展開している日本もアルゼンチンの事を決して笑えない気がいたします。

Rulers and Ruled in the US Empire: Bankers, Zionists and Militants [Paperback
http://www.amazon.com/Rulers-Ruled-US-Empire-Militants/dp/093286354X



PS. アルゼンチンはスペインとイタリアからの移民が多いですが、といっても本土からではなく、地中海に浮かぶシシリーやバレアレスなどの島の出身者が多いので、一攫千金というか、中央政府の言うことには反発する、一匹狼的な、自立心旺盛な人が多いそうです。それでたとえば給料の半分は手渡しにするといった、税金をうまくごまかす術にたけている人たちが多いということはアルゼンチン人から聞いたことがあります。オバマの好きな映画「ゴッドファーザー」みたいな人が多いのでしょう。



余談ですが、アメリカの全空港でボディー・スキャンが始まった途端に北朝鮮が韓国に砲撃したそうですね。なんだかうまい話。


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UPDATE(12月1日)


■ウィキリークスにリークされたヒラリーのアルゼンチン大統領に関するメール


2,3日前にウィキリークスによってリークされたアメリカの外交文書の中に、昨年12月31日午後2時55分、ヒラリー・クリントンが、アルゼンチンの現大統領、クリスティーナ・キルチネルについて、「あんなに神経質で心配性で、どうやって自己管理しているのか。誰かヘルプしている人は周囲にいるのか。処方薬でも飲んでいるのか」といった内容の物を、ブエノスアイレスのアメリカ大使館宛てに送っていたメールもありました。

また他界したクリスティーナ・キルチネルの夫については、「非常に感情的で極端な性格だが、どんな怒りが彼をああさせているのか」といったことも書かれていたそうです。

ラテン系は情熱的で感情的だっていうの(笑)。これは冗談としても、それはいくら顔色窺いながらうまく泳ごうと試みていた人間だとしても、経済的に大変な仕打ちにあった国の元首ともなれば、怒りも収まらないのが当然ですって。

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http://www.mcclatchydc.com/2010/11/29/104459/clinton-probed-argentine-leaders.html


Clinton probed Argentine leader's 'nerves,' 'anxiety,' 'stress'

MEXICO CITY — Seeking a frank evaluation of Argentina's president, the office of Secretary of State Hillary Clinton asked the U.S. Embassy in Buenos Aires late last year to delve into her psyche.

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「反民主主義戦争」の開幕?

(by こげぱん)



既報のことで恐縮ではあるが、先週のアメリカ中間選挙はTea Party旋風が吹き荒れ、オバマ民主党が大敗して終わった。

下記Guardian社説によると、2006年(ブッシュ政権最後の中間選挙)では無党派層の57%が民主党に投票し、2年前の大統領選挙では65%もがオバマに投票したにもかかわらず、2010年中間選挙ではわずか40%が民主党に投票(共和党には55%)したにすぎず、今回の選挙はオバマにとっての「パーフェクト・ストーム」であったことが数字上からも窺い知れる。

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The Republicans: no more party of no
http://www.guardian.co.uk/commentisfree/cifamerica/2010/nov/03/us-midterm-elections-2010-us-politics2

Winning the election was the easy part. Now the GOP has to govern too

James Antle
guardian.co.uk, Wednesday 3 November 2010 22.30 GMT
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共和党に大勝をもたらしたのは、ワシントンにNoを突きつけ、「小さな政府」や「福音主義」的主張を掲げるTea Partyなる「草の根保守運動」であるが、上記Guardian社説では「今後、共和党はNoと言うだけの政党(=Tea Party)は要らない」としているものの、(2006年中間選挙や08年大統領選挙で否定されたはずの)ジョージ・ブッシュの亡霊が蘇ったかの如き主張を掲げるTea Partyの躍進は不気味である。

さてTea Partyの躍進はオバマ政権に大打撃をもたらしたにとどまらず、民主主義にとっての「パーフェクト・ストーム」であると、クリントン政権労働長官ロバート・ライシュ氏が指摘している。

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The Perfect Storm
http://www.social-europe.eu/2010/10/the-perfect-storm-2/

18/10/2010
By Robert Reich
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上記論文でライシュ氏は、アメリカではこの80年で寡占化が進み、今や上位1%のアメリカ人-その多くはビルゲイツのような起業家やウォールストリート金融機関の重役、ヘッジファンドのマネージャーなど-が総収入の1/4を独占し、かつ「上位1%のアメリカ人」であるコッシュ兄弟(Koch brothers)のような大富豪が陰でTea Partyのような「草の根運動」を「支援」して多大な影響力を行使していることや、はたまたTea Party支持者は政府への怒りをみなぎらせ、富裕層やキャピタルゲイン増税と社会保障削減双方に反対するなど矛盾した主張を行なっていることをあげ、Tea Party現象に寡頭制資本主義(Plutocratic Capitalism)の萌芽を見ている。


モンテスキューは主書「法の精神」で、「共和制において人民が全体として最高権力をもつ」政体を民主制と定義しているが、同時に「ただ一人が法律も規則もなく、万事を彼の意思と気まぐれによって引きずる」政体を専制政体と定義して、専制政体の統治原理として「恐怖」の存在を指摘しているが、世界恐慌という「恐怖」が世界を覆い、大富豪が多大な影響力を行使する怪しげな「草の根団体」や、はたまた(日本の参議院選挙で見られたように)気まぐれな「世論」や「民意」が「民主主義国」の政治を左右する今日の政治は、ライシュ氏の指摘を待つまでもなく「専制政体」の入り口にあるのかもしれない。

21世紀はNY WTCツインタワー崩壊で始まり、「反テロ戦争」(War on Terror)に明け暮れたが、世界恐慌下で幕を開けた次の10年は緊縮財政Austerity-(注1)なる「反福祉国家戦争」(War on Welfare State)や、たとえばTea Partyに踊る有権者の「反民主主義戦争」(War on Democracy)に明け暮れ、WTCツインタワーより大事な何かが崩壊しそうな嫌な予感がする。


(注1)イギリスでもキャメロン保守党連立政権が現在超緊縮政策を進めているが、そもそも「大きな政府」(Big Society)を公約に掲げて政権の座に就いたキャメロン保守党連立政権が超緊縮財政を進めることは、一種の「政治的クーデター」である、とGuardianが指摘している。

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The Bullingdon boys want to finish what Thatcher began

http://www.guardian.co.uk/commentisfree/2010/oct/20/bullingdon-boys-want-to-finish-what-thatcher-began

The Tories and Lib Dems are forcing through a battery of cuts for which they have no mandate. It is a kind of political coup
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